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【保存版】DHLで返品する際の関税・消費税の還付手続 まとめ

更新日:9月24日


はじめに



海外から輸入した商品が不良品だった…。BUYMAなどで海外商品を取り扱っていると、残念ながらこうしたケースは決して珍しくありません。


ところが、多くの方が「返品はできても、輸入時に支払った関税・消費税を取り戻す方法がわからない」ために、そのまま損をしてしまっているのが実情です。


実は、所定の手続きを踏めば 関税・消費税は還付(返金)を受けることが可能 です。本記事では、DHLを利用して返品する場合を例に、返品から還付までの流れ・必要書類・注意点 を、税関とDHL双方の視点から整理しました。(UPSやFEDEXを利用する場合でも基本的な流れは同じです。)


また、実務でそのまま使える 「還付申告書の記入例」や「不良品返品・関税消費税還付手続きチェックリスト」 もご用意しています。ぜひお役立てください。





1. 税関での関税・消費税の還付手続



返品の際は 「関税等の減免・還付制度」 を利用します。正式には 「関税法第7条」等に基づく輸入品の返還に伴う関税等の減免・還付」 です。


還付の基本条件


  • 輸入した商品が不良品、誤送品などの理由で 未使用のまま輸出(返品)すること

  • 輸入後 6か月以内 に外国に返品すること(例外あり)。

  • 関税・消費税をすでに納付済みであること。

  • 国内で使用・販売していないこと。


必要書類(代表例)


  1. 還付申告書(所轄税関に提出)

  2. 輸入許可通知書(課税時のもの)

  3. 納税申告書または納税通知書(納付額の証明)

  4. 返品輸出の船荷証券(B/L)やAWB(航空運送状)

  5. インボイス・パッキングリスト(輸入・輸出両方)

  6. 不良品であることを証明する資料(相手先とのやり取り、返品依頼書、写真など)

  7. DHLの発送証明(後述)


👉 書類が不十分だと還付が認められません。輸入と輸出が「同一貨物」であることを明確にするのがポイントです。


手続きの流れ(税関)


  1. 輸入時の許可通知書を確認。課税済みであることを証明。

  2. DHLを通じて返品輸出の手続きを行う。

  3. 輸出許可が下りた後、輸出許可証やDHL発行のAWBを入手。

  4. それらの書類を揃え、還付申告書を所轄税関に提出。

  5. 税関が審査し、還付金(関税・消費税)が後日返金。





2. DHLからの実務サポート



DHLは 運送業者 としての役割なので、税還付手続きを直接行ってはくれませんが、以下をサポートします。


DHLに依頼できること


  • 返品輸出の配送手配(不良品を送り返す手続き)

  • AWB(Air Waybill、航空運送状)の発行 → 税関還付に必須

  • 輸出インボイスの作成サポート

    • 「返品(Return Goods)」の明記

    • 「Original Import Invoice No.」を記載

  • 輸入と輸出を紐づけるための資料提供


DHL利用時の注意点


  • インボイスに必ず「返品(Return Goods)」と記載し、輸入時のインボイス番号や輸入許可日を明記する。

  • 不良品であることを示す理由書を添付("Defective goods, returned to supplier" など)。

  • DHLに依頼しても税金の還付申告は自分(輸入者)または通関士を通じて行う必要がある





3. 注意事項(全体)


  • 還付期限:輸入から6か月以内(原則)。遅れると認められない。

  • 消費税も還付対象:関税だけでなく輸入時に課された消費税も返ってくる。

  • 不良品の証明:写真・メール・返品依頼書などを揃えるとスムーズ。

  • 代替品輸入時:別途輸入する代替品には再度関税・消費税が課税される(免除されない)。



✅ まとめると

  • 税関の仕事:還付審査・返金。書類を揃える必要あり。

  • DHLの仕事:返品の輸送・AWB発行・インボイスサポート。





還付申告書(記入例)


これは税関に提出する正式書類です。形式は「還付申告書(関税法第7条関係)」と呼ばれます。



📄 還付申告書(サンプル)

【提出先】〇〇税関長 殿


還付申告書


1.申告者(還付を受ける者)

 住所:東京都〇〇区〇〇町1-2-3

 氏名:株式会社〇〇〇〇

 代表者名:代表取締役 山田太郎

 電話番号:03-1234-5678


2.還付の原因

 令和〇年〇月〇日に輸入した下記貨物について、不良品であったため

 令和〇年〇月〇日に外国の仕出人に返品輸出したもの。


3.還付対象貨物の明細

 輸入許可年月日:令和〇年〇月〇日

 輸入許可番号 :ABC12345(インボイスNo.1234)

 輸入貨物名  :電子部品(Defective electronic parts)

 課税価格   :100,000円

 納付関税額  :5,000円

 納付消費税額 :10,000円


4.還付対象輸出の明細

 輸出許可年月日:令和〇年〇月〇日

 輸出許可番号 :XYZ67890

 輸送手段   :DHL(AWB No.123-4567-890)

 輸出貨物名  :返品品(Return of defective goods)


5.還付申告額

 関税 :5,000円

 消費税:10,000円

 合計 :15,000円


6.添付書類

 (1) 輸入許可通知書の写し

 (2) 納税申告書(納付額の証明)

 (3) 輸出許可通知書の写し

 (4) DHL航空運送状(AWB)

 (5) インボイス(輸入・輸出)

 (6) 不良品証明資料(仕出人の返品依頼書、写真等)


令和〇年〇月〇日

申告者:株式会社〇〇〇〇

代表者:山田太郎 印




📌 書き方のポイント

  1. 輸入許可番号・輸出許可番号・AWB番号 を必ず記載 → 「同じ貨物」であることの証明。

  2. 還付対象額の内訳(関税・消費税) を明確に記入。

  3. 添付書類 を揃えるのが最重要(不足すると差し戻し)。

  4. 提出は 輸入時の通関をした税関 宛て。 (例:成田税関で輸入したなら成田税関に申告)



📌 提出の流れ(実務)

  1. DHLで返品発送 → AWB入手。

  2. DHL経由で輸出通関 → 輸出許可通知書を取得。

  3. 書類一式を揃えて、輸入時の税関に「還付申告書」を提出。

  4. 審査 → 問い合わせ対応(不備あれば追加資料提出)。

  5. 数週間〜数か月後に、指定口座に還付金が振り込まれる。


👉 この雛形をベースに、実際の「輸入許可通知書」「納税通知書」「輸出許可通知書」「DHL AWB」の番号を埋め込んで提出すればOKです。





📌 輸入者(申告者)の仕事フロー



【ステップ1:不良品の確認】

  1. 商品を受け取る。

  2. 不良品であることを確認(写真撮影・検品記録)。

  3. 仕入先(海外の販売者)へ返品の意思を連絡。

  4. 返品承認書(RMA)や返品依頼メールを保管。



【ステップ2:返品準備】

  1. DHLへ返品輸送を依頼。

    • 「返品(Return Goods)」と明記したインボイスを作成(輸入インボイス番号・輸入許可日を記載)。

  2. DHLから AWB(航空運送状) を受領。

  3. DHLが通関 → 税関で輸出許可が下りる。

    • 輸出許可通知書 を取得。



【ステップ3:還付申告書の作成】

  1. 書類を揃える

    • 輸入許可通知書(輸入時)

    • 納税申告書(関税・消費税の納付証明)

    • 輸出許可通知書(返品時)

    • DHL AWB

    • インボイス(輸入・輸出)

    • 不良品証明資料(写真、仕入先からの返品依頼書など)

  2. 還付申告書 を作成(輸入許可番号・輸出許可番号・還付希望額を記入)。



【ステップ4:税関へ還付申告】

  1. 輸入時に申告した税関に「還付申告書+添付書類」を提出。

  2. 税関からの照会があれば対応(追加資料の提出や説明)。



【ステップ5:還付金受領】

  1. 税関の審査完了 → 還付決定通知。

  2. 指定した銀行口座に、関税・消費税が還付される。

  3. 目安:提出から1〜3か月程度。



✅ 全体イメージ(時系列)


不良品発見

 ↓

返品承認取得(仕入先とのやり取り)

 ↓

DHLで返品発送(返品インボイス・AWB)

 ↓

輸出許可取得(税関)

 ↓

書類揃える(輸入許可通知書、納税証明など)

 ↓

還付申告書を作成

 ↓

税関へ提出・審査

 ↓

還付金入金



👉 これで申告者としてのやるべき流れが「時系列」で整理されました。





✅ 不良品返品・関税消費税還付手続 チェックリスト


【1. 不良品の確認・準備】


  • 商品を受領後、不良品であることを確認

  • 不良箇所を写真で記録

  • 仕入先(海外販売者)へ返品の意思を連絡

  • 返品承認書(RMA)や返品依頼メールを保存



【2. DHLで返品手配】


  • DHLに返品輸送を依頼

  • 「返品(Return Goods)」と記載した 返品インボイス を作成

    • 輸入インボイス番号を記載

    • 輸入許可日を記載

  • DHLから AWB(航空運送状) を受領

  • DHLが通関 → 税関から 輸出許可通知書 を受領



【3. 還付申告書の作成準備】


  • 輸入許可通知書(輸入時)を用意

  • 納税申告書・納税通知書(関税・消費税額が分かる書類)を用意

  • 輸出許可通知書(返品時)を用意

  • DHL AWB を用意

  • 輸入インボイス・輸出インボイス を用意

  • 不良品証明資料(返品依頼書、写真、メール記録など)を用意



【4. 還付申告書の作成・提出】


  • 還付申告書に必要事項を記入

    • 輸入許可番号

    • 輸出許可番号

    • AWB番号

    • 還付希望額(関税額・消費税額の合計)

  • 添付書類一式を揃える

  • 輸入時の税関に「還付申告書+添付書類」を提出

  • 税関から照会があれば追加資料を提出



【5. 還付金受領】


  • 税関から「還付決定通知」を受領

  • 指定口座への入金を確認(通常1〜3か月程度)



📌 このチェックリストに沿って進めれば、抜け漏れなく対応できます。


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