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輸入申告とアンダーバリュー|虚偽インボイスのリスクと対策



はじめに


海外から商品を仕入れるときには、必ず通関で「輸入申告」を行います。このときに最も重要なのが、申告内容を正しく伝えることです。

特に注意すべきは「インボイスに記載される金額」。これはそのまま課税価格の基準になり、関税や消費税の計算に使われます。

もし金額に誤りがあったり、わざと安く申告してしまうと――追徴課税や罰則といった大きなリスクにつながります。

この記事では、

  • 輸入申告で守るべき金額ルール

  • アンダーバリュー(過少申告)の危険性

  • そして、輸入者の知らないところで輸出者が虚偽表示をしてしまう場合の注意点

について、わかりやすく整理して解説します。



輸入申告では正確な金額が必須


  • 輸入者は、商品の購入価格や取引条件に基づき、正確な金額を申告する義務があります。

  • 税関はインボイス(仕入先が発行する請求書)を基に課税価格を算定し、関税や消費税を計算します。

👉 したがって、インボイスに記載する金額が、そのまま税額を決める基準になります。



適正価格で申告することは法律上の義務


  • 関税法では「輸入者は正しい価格を申告する義務がある」と明確に定められています。

  • 仕入れ値を意図的に安く記載したり、ノベルティ扱いにして価格を下げる行為は認められません。

  • 適正な価格を申告しなければ、輸入許可が下りない場合もあります。



アンダーバリュー(過少申告)のリスク


インボイスに虚偽の金額を記載して過少申告を行った場合は、関税法違反となります。

想定されるペナルティ

  1. 追徴課税

    • 不足分の関税・消費税に加え、過少申告加算税(通常10%)、悪質な場合は重加算税(35%)が課される。

  2. 延滞税

    • 本来の納付期限から支払いまでの日数に応じ、年7.3%程度が日割りで加算。

  3. 罰則

    • 故意・仮装・隠ぺいと判断されれば、刑事罰(罰金や懲役)の対象。

  4. 信用リスク

    • 税関から「要注意輸入者」と認定され、以降の輸入で全件検査や追加資料提出を求められる。



実際によくあるケース:輸入者が意図しない虚偽インボイス


輸入者が正しく取引していても、輸出者側の都合でインボイスに虚偽表示がされることがあります


典型例


  • 「通関を簡単にするため」として、輸出者が勝手に金額を低く記載。

  • 「ギフト」や「サンプル」と虚偽表示して発送。

  • 海外ECサイトで購入したが、物流倉庫が自動的に低額記載を行った。


問題点


  • 税関では、輸入者が虚偽のインボイスを提出した責任を問われる可能性がある。

  • 故意でなくても、追徴課税や厳格な審査の対象になる。


輸入者が取るべき対応


  1. 仕入先に「正しい金額をインボイスに記載してほしい」と依頼する(契約条件に明記するとベスト)。

  2. 支払証憑(クレジットカード明細・PayPal明細・送金記録)を保存し、税関から指摘されたときに提示できるようにする。

  3. 万一、インボイスが低額記載だった場合は、通関時に修正申告して正しい金額で処理する。



まとめ

  • 輸入申告では、インボイス記載金額が課税価格の基準

  • 過少申告(アンダーバリュー)は追徴課税・罰則・信用失墜につながる。

  • 悪質でなくても、輸出者が勝手に虚偽インボイスを発行するケースがある。

  • 輸入者は「正しい金額で記載を依頼する」「支払証憑を保管する」「必要なら修正申告する」ことでリスクを回避できる。


💡 輸入ビジネスを継続的に安定させるには、短期的な関税削減よりも長期的な信頼と透明性を優先することが何より大切です。

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