【保存版】DHLで返品する際の関税・消費税の還付手続 まとめ
- JUNJUN うきうき
- 9月13日
- 読了時間: 7分
更新日:9月24日
はじめに
海外から輸入した商品が不良品だった…。BUYMAなどで海外商品を取り扱っていると、残念ながらこうしたケースは決して珍しくありません。
ところが、多くの方が「返品はできても、輸入時に支払った関税・消費税を取り戻す方法がわからない」ために、そのまま損をしてしまっているのが実情です。
実は、所定の手続きを踏めば 関税・消費税は還付(返金)を受けることが可能 です。本記事では、DHLを利用して返品する場合を例に、返品から還付までの流れ・必要書類・注意点 を、税関とDHL双方の視点から整理しました。(UPSやFEDEXを利用する場合でも基本的な流れは同じです。)
また、実務でそのまま使える 「還付申告書の記入例」や「不良品返品・関税消費税還付手続きチェックリスト」 もご用意しています。ぜひお役立てください。
1. 税関での関税・消費税の還付手続
返品の際は 「関税等の減免・還付制度」 を利用します。正式には 「関税法第7条」等に基づく輸入品の返還に伴う関税等の減免・還付」 です。
還付の基本条件
輸入した商品が不良品、誤送品などの理由で 未使用のまま輸出(返品)すること。
輸入後 6か月以内 に外国に返品すること(例外あり)。
関税・消費税をすでに納付済みであること。
国内で使用・販売していないこと。
必要書類(代表例)
還付申告書(所轄税関に提出)
輸入許可通知書(課税時のもの)
納税申告書または納税通知書(納付額の証明)
返品輸出の船荷証券(B/L)やAWB(航空運送状)
インボイス・パッキングリスト(輸入・輸出両方)
不良品であることを証明する資料(相手先とのやり取り、返品依頼書、写真など)
DHLの発送証明(後述)
👉 書類が不十分だと還付が認められません。輸入と輸出が「同一貨物」であることを明確にするのがポイントです。
手続きの流れ(税関)
輸入時の許可通知書を確認。課税済みであることを証明。
DHLを通じて返品輸出の手続きを行う。
輸出許可が下りた後、輸出許可証やDHL発行のAWBを入手。
それらの書類を揃え、還付申告書を所轄税関に提出。
税関が審査し、還付金(関税・消費税)が後日返金。
2. DHLからの実務サポート
DHLは 運送業者 としての役割なので、税還付手続きを直接行ってはくれませんが、以下をサポートします。
DHLに依頼できること
返品輸出の配送手配(不良品を送り返す手続き)
AWB(Air Waybill、航空運送状)の発行 → 税関還付に必須
輸出インボイスの作成サポート
「返品(Return Goods)」の明記
「Original Import Invoice No.」を記載
輸入と輸出を紐づけるための資料提供
DHL利用時の注意点
インボイスに必ず「返品(Return Goods)」と記載し、輸入時のインボイス番号や輸入許可日を明記する。
不良品であることを示す理由書を添付("Defective goods, returned to supplier" など)。
DHLに依頼しても税金の還付申告は自分(輸入者)または通関士を通じて行う必要がある。
3. 注意事項(全体)
還付期限:輸入から6か月以内(原則)。遅れると認められない。
消費税も還付対象:関税だけでなく輸入時に課された消費税も返ってくる。
不良品の証明:写真・メール・返品依頼書などを揃えるとスムーズ。
代替品輸入時:別途輸入する代替品には再度関税・消費税が課税される(免除されない)。
✅ まとめると
税関の仕事:還付審査・返金。書類を揃える必要あり。
DHLの仕事:返品の輸送・AWB発行・インボイスサポート。
還付申告書(記入例)
これは税関に提出する正式書類です。形式は「還付申告書(関税法第7条関係)」と呼ばれます。
📄 還付申告書(サンプル)
【提出先】〇〇税関長 殿
還付申告書
1.申告者(還付を受ける者)
住所:東京都〇〇区〇〇町1-2-3
氏名:株式会社〇〇〇〇
代表者名:代表取締役 山田太郎
電話番号:03-1234-5678
2.還付の原因
令和〇年〇月〇日に輸入した下記貨物について、不良品であったため
令和〇年〇月〇日に外国の仕出人に返品輸出したもの。
3.還付対象貨物の明細
輸入許可年月日:令和〇年〇月〇日
輸入許可番号 :ABC12345(インボイスNo.1234)
輸入貨物名 :電子部品(Defective electronic parts)
課税価格 :100,000円
納付関税額 :5,000円
納付消費税額 :10,000円
4.還付対象輸出の明細
輸出許可年月日:令和〇年〇月〇日
輸出許可番号 :XYZ67890
輸送手段 :DHL(AWB No.123-4567-890)
輸出貨物名 :返品品(Return of defective goods)
5.還付申告額
関税 :5,000円
消費税:10,000円
合計 :15,000円
6.添付書類
(1) 輸入許可通知書の写し
(2) 納税申告書(納付額の証明)
(3) 輸出許可通知書の写し
(4) DHL航空運送状(AWB)
(5) インボイス(輸入・輸出)
(6) 不良品証明資料(仕出人の返品依頼書、写真等)
令和〇年〇月〇日
申告者:株式会社〇〇〇〇
代表者:山田太郎 印
📌 書き方のポイント
輸入許可番号・輸出許可番号・AWB番号 を必ず記載 → 「同じ貨物」であることの証明。
還付対象額の内訳(関税・消費税) を明確に記入。
添付書類 を揃えるのが最重要(不足すると差し戻し)。
提出は 輸入時の通関をした税関 宛て。 (例:成田税関で輸入したなら成田税関に申告)
📌 提出の流れ(実務)
DHLで返品発送 → AWB入手。
DHL経由で輸出通関 → 輸出許可通知書を取得。
書類一式を揃えて、輸入時の税関に「還付申告書」を提出。
審査 → 問い合わせ対応(不備あれば追加資料提出)。
数週間〜数か月後に、指定口座に還付金が振り込まれる。
👉 この雛形をベースに、実際の「輸入許可通知書」「納税通知書」「輸出許可通知書」「DHL AWB」の番号を埋め込んで提出すればOKです。
📌 輸入者(申告者)の仕事フロー
【ステップ1:不良品の確認】
商品を受け取る。
不良品であることを確認(写真撮影・検品記録)。
仕入先(海外の販売者)へ返品の意思を連絡。
返品承認書(RMA)や返品依頼メールを保管。
【ステップ2:返品準備】
DHLへ返品輸送を依頼。
「返品(Return Goods)」と明記したインボイスを作成(輸入インボイス番号・輸入許可日を記載)。
DHLから AWB(航空運送状) を受領。
DHLが通関 → 税関で輸出許可が下りる。
輸出許可通知書 を取得。
【ステップ3:還付申告書の作成】
書類を揃える
輸入許可通知書(輸入時)
納税申告書(関税・消費税の納付証明)
輸出許可通知書(返品時)
DHL AWB
インボイス(輸入・輸出)
不良品証明資料(写真、仕入先からの返品依頼書など)
還付申告書 を作成(輸入許可番号・輸出許可番号・還付希望額を記入)。
【ステップ4:税関へ還付申告】
輸入時に申告した税関に「還付申告書+添付書類」を提出。
税関からの照会があれば対応(追加資料の提出や説明)。
【ステップ5:還付金受領】
税関の審査完了 → 還付決定通知。
指定した銀行口座に、関税・消費税が還付される。
目安:提出から1〜3か月程度。
✅ 全体イメージ(時系列)
不良品発見
↓
返品承認取得(仕入先とのやり取り)
↓
DHLで返品発送(返品インボイス・AWB)
↓
輸出許可取得(税関)
↓
書類揃える(輸入許可通知書、納税証明など)
↓
還付申告書を作成
↓
税関へ提出・審査
↓
還付金入金
👉 これで申告者としてのやるべき流れが「時系列」で整理されました。
✅ 不良品返品・関税消費税還付手続 チェックリスト
【1. 不良品の確認・準備】
商品を受領後、不良品であることを確認
不良箇所を写真で記録
仕入先(海外販売者)へ返品の意思を連絡
返品承認書(RMA)や返品依頼メールを保存
【2. DHLで返品手配】
DHLに返品輸送を依頼
「返品(Return Goods)」と記載した 返品インボイス を作成
輸入インボイス番号を記載
輸入許可日を記載
DHLから AWB(航空運送状) を受領
DHLが通関 → 税関から 輸出許可通知書 を受領
【3. 還付申告書の作成準備】
輸入許可通知書(輸入時)を用意
納税申告書・納税通知書(関税・消費税額が分かる書類)を用意
輸出許可通知書(返品時)を用意
DHL AWB を用意
輸入インボイス・輸出インボイス を用意
不良品証明資料(返品依頼書、写真、メール記録など)を用意
【4. 還付申告書の作成・提出】
還付申告書に必要事項を記入
輸入許可番号
輸出許可番号
AWB番号
還付希望額(関税額・消費税額の合計)
添付書類一式を揃える
輸入時の税関に「還付申告書+添付書類」を提出
税関から照会があれば追加資料を提出
【5. 還付金受領】
税関から「還付決定通知」を受領
指定口座への入金を確認(通常1〜3か月程度)
📌 このチェックリストに沿って進めれば、抜け漏れなく対応できます。




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