少額輸入貨物の簡易税率
- JUNJUN うきうき
- 9月24日
- 読了時間: 5分
税関のHPには、「少額輸入貨物の簡易税率」と題して、次のような案内があります。
まずは、そちらをお読みください。
その上で、具体例を挙げながら、わかりずらい部分をやさしく解説します。
(総額20万円以下の場合)
海外から商品を輸入する場合、個人使用の品物または贈り物であっても、原則としてその商品に対して関税が課されることとなりますが、一般貨物または郵便小包を利用した場合で、課税価格の合計額が20万円以下の場合には、一般の関税率とは別に定められた簡易税率が適用されます。
一般の関税率を適用する場合、数千もの品目分類の中から税率を適用することになりますが、この簡易税率を適用する場合、その品目分類を大別した7区分において税率を確定します。ただし、この簡易税率は、携帯品及び別送品、関税が無税または免税になるもの、わが国の産業への影響を考慮し簡易税率を適用することが適当でないとされている物品には適用されません。
また、輸入者が、これら輸入貨物の全部について一般の関税率の適用を希望した場合には、一般の関税率を適用します。(実行関税率表)
課税価格が1万円以下の貨物の場合、原則として、関税、消費税および地方消費税は免除されます。ただし、酒税およびたばこ税・たばこ特別消費税は免除になりません。また、革製のバッグ、パンスト・タイツ、手袋・履物、スキー靴、ニット製衣類等は個人的な使用に供されるギフトとして居住者に贈られたものである場合を除き、課税価格が1万円以下であっても関税等は免除されません。
個人の方がご自身の個人的使用の目的で輸入する貨物の課税価格は、海外小売価格に0.6を掛けた金額となります。その他の貨物の課税価格は、商品の価格に運送費および保険料を足した金額になります。
上記の関税率とは別に内国消費税(消費税、酒税など)および地方消費税が別途課税されます。また、無税のものについては、内国消費税および地方消費税のみが課税されます。
郵便物の重量制限などのため2個以上に分割されている場合は、この合計が課税価格となります。
次のものについては、「少額輸入貨物に対する簡易税率表」は適用されません。
一般税率が適用されるもの(例)
米などの穀物とその調製品
ミルク、クリームなどとその調整品
ハムや牛肉缶詰などの食肉調製品
たばこ、精製塩
旅行用具、ハンドバッグなどの革製品
ニット製衣類
履物
身辺用模造細貨類(卑金属製のものを除く)
重要部分のまとめ
理解しずらい部分を感けるに解説します。
1.課税価格とは
輸入貨物に課税する際の基準となる価格のことです。
つまり「この金額をベースにして関税や消費税を計算しますよ」という基準額。
この課税価格の定義をしっかりしてないと理解が難しくなります。
課税価格の算定方法は次の通りです。
・個人使用(自分または同居の親族)⇒ 課税価格=商品代金の60%
・ギフト用(同居しない家族へギフトを含む)⇒ 課税価格=CIF価格(商品代金+送料等)
・商用⇒ 課税価格=CIF価格(商品代金+送料等)
2.少額輸入貨物に該当するかどうかの基準
少額輸入貨物に該当するかどうかは次の手順で判断します。
①一般税率が適用されると法定された品目でないこと。
②個人の方がご自身の個人的使用(※)の目的で輸入する貨物の課税価格は、海外小売価格(=商品代金)に0.6を掛けた金額となります。
それ以外の目的で輸入する貨物の課税価格はCIF価格(小売価格+送料等)になります。
③その上で、課税価格の合計額が20万円以下の場合には、少額輸入貨物と判断され、一般の関税率とは別に定められた簡易税率が適用されます。(上表参照)
※ここでいう「個人使用の目的」とは、「自分か同居の家族が使用する目的」を意味します。
✅ 税関実務での考え方
同居家族に贈る場合→ 税関は「輸入者と生活を共にする家族の使用」と解釈します。→ したがって 贈与品扱いにはならず、『個人使用』の範囲内 として扱われます。→ 課税価格は インボイス価格 × 0.6(60%課税) で算定可能。
別居の家族に贈る場合→ 税関は「輸入者本人・同居家族の使用」には当たらないと判断。→ この場合は「贈与品扱い」になり、60%課税は使えずCIF価格が課税価格になる。→ ただし、課税価格1万円以下なら免税が可能。
ケーススタディ
バッグを購入(インボイス価格 30万円)
同居の妻や子供に贈る → 課税価格 = 30万円 × 0.6 = 18万円 → 簡易税率も適用可能
別居の親や兄弟に贈る → 課税価格 = 30万円(100%) → 少額貨物の範囲(20万円以下)なら簡易税率、20万円超なら通常税率
3.簡易税率が適用されるための条件
・課税価格の合計額が20万円以下であること。
・個人使用目的またはギフト目的での輸入であること。(ただし、課税価格に差異あり)
4.まとめ
・個人使用(自分または同居の親族)⇒ 課税価格=商品代金の60%、簡易税率の適用あり。
・ギフト用(同居しない家族へギフトを含む)⇒ 課税価格=CIF価格(商品代金+送料等)、簡易税率の適用あり。
・商用⇒ 課税価格=CIF価格(商品代金+送料等)、簡易税率の適用なし。
ただし、個人使用目的やギフト目的の輸入者が一般税率の適用やEPA税率の適用を申し出たときは、簡易税率そちらが優先されます。その場合も、課税価格に各税率を掛けて関税税額を計算します。




コメント